EZwebメールをWindows Phone OS標準のメールアプリで使う

KDDI公式を含むインターネット上にあった情報をつなぎ合わせたまとめ。基本的には、キャリアメールを専用アプリで提供しないiPhone用のアカウント情報発行機能を転用する感じ。といっても、この端末を使うようなマニアックな人ならほとんどが知っているのかもしれないけれど。

利点と欠点

  • 自動受信の間隔が純正アプリの半分(15分)まで短縮可能。
  • Wi-Fi接続でのメール送受信が可能。
  • 死ぬほど評価の低い純正アプリ*1を使わなくていい。
  • 絵文字の類は正しく扱えなくなるはずである*2

手法の概要

とりあえず前提として、iPhone向けのキャリアメールはExchange ActiveSync(以下EAS)互換モードまたはIMAPモードのいずれか*3で動いている*4。そして、KDDIiPhoneの標準アプリでこれらに接続するために、設定情報を取得する画面を用意してくれている*5Windows Phone OS標準のメール機能はもちろんEASにもIMAPにも対応しているので、ここで設定情報を取得して手作業で設定してやろう、というワケ。

用意するもの

IMAPを利用する場合*6、用意するものはIS12Tと、IS12Tでデータ通信が利用できるKDDIの回線、当該回線でEメールアドレスが取得されていること*7、それからUser Agent(以下UA)をiPhoneのMobile Safariのものに偽装できるブラウザアプリ*8だけで、要するにIS12Tだけで完結できる。

手順

さて、具体的な作業方法であるが、基本的にはKDDIのWebサイトにあるEメール(@ezweb.ne.jp)の初期設定 5.2版 | iPhone | auの"メッセージアプリ(MMS)を利用した設定方法"*9に従うことになる。
まず、Messagingアプリで"#5000"という番号宛に"1234"というSMSを送信する。すると、別スレッド*10で"メール設定URL"なるものが届くので、このURLをコピーする*11。このURLへは、KDDIの回線からしかアクセスできず、またUAiPhoneのものでないとiPhone以外の端末へ機種変更した場合の手続き用ページになってしまうので、ここでデータ接続に切り替え、用意したブラウザアプリでこのページを開く*12
表示されたページで手動設定だとか、MMS用だとか書いてあるリンクをたどり、"設定する"をタップすると、送受信に利用するサーバーの情報やメールアドレスが表示され*13、前のMessagingのスレッドに、こんどはユーザー名とパスワードが送られてくる。
あとは、IS12Tの設定にある"メール&アカウント"を開き、アカウントの追加ウィザードで"その他のアカウント(POPおよびIMAP)"を選択してメールアドレスとパスワードを入力、サインインする。しばらくすると送受信サーバーの設定がそれぞれ自動的に検出され、認証だけがエラーになって返ってくる*14ので、ユーザー名をMessagingで受信したものに修正して設定してやればよい。

新着通知を受ける

ここまで設定をして気づいていると思うが、冒頭にもあるとおりIMAPアカウントの最短自動受信間隔は15分である*15。そこで、メール新着時にCメール(SMS)で通知してくれるように設定する。
ここで、まさかの純正Eメールアプリが登場する。幸いなことに、純正アプリはiPhone用のIMAPアクセス設定と共存が可能なので、純正アプリの設定*16で通知を有効にすることで、メール新着時に"Email Center"から"新着メールがあります"というメッセージが届くようになる。OSのメールアプリと違い、Messagingでは受信時に即トースト通知が表示されるのもうれしいところである。
なお、設定したIMAPアカウントはWi-Fi経由でも利用できる*17ため、これらの設定が完了してしまえばデータ接続を利用する必要は無くなる。

他のデバイスで受信する

さて、ここまでの説明を読んで、勘のいい人は気づいているのではないだろうか。Wi-Fi接続で利用できる、IMAPで利用できる、設定情報が明らかである、本来想定されていないメールクライアント(Windows Phone OS標準のメールアプリ)でも利用できる……。そう、アカウント情報さえ取得してしまえば、あとはIS12Tでなくともどんなデバイスでも、@ezweb.ne.jpのアドレスが利用できてしまうのである*18
というわけでMacBookたちのMail.appに設定してみたり、Ad[es]/03に設定して、新着通知のSMSが届いたらWILLCOM回線経由で読んでみたりして。Wi-Fi運用だしEメールアプリの仕様もアレだし、キャリアメールが生きることはまずないだろうなと思っていたのに、まさかこんな形で生きるとは*19

EASを使う場合

EASを使う場合、リアルタイム受信という恩恵を受けられるはず*20だが、二つの制約がある*21
一つ目は、設定情報の取得が現時点ではIS12T単独ではできないこと。EASを利用する場合、iPhoneへは構成プロファイルと呼ばれるXMLファイルを読み込ませて自動設定をさせることになるのだが、前述のiPhone's UA Browserでは、この構成プロファイルを保存したり、中身を表示したりすることができない*22。中身さえ読めればそこにEAS用の認証情報がある*23ので、au ICカードを挿入可能なAndroid端末があればよいのだが……。
二つ目は、IMAPと排他利用であること。つまり、おそらく純正アプリとの併用は不可能になる。また、他のモバイルデバイスでの利用はできるが、PCでの利用は出来なくなる可能性が高い*24

*1:参考: KDDI の「Eメール」アプリは世界で最も評価の低いアプリのひとつ - ななふぉ

*2:ウィルコム機しかもっていないので検証していない。Unicodeへの絵文字移行が進めばどうにかなるのかもしれない。

*3:排他利用になっていて、同じアカウントでは同時に一方しか使えない。ユーザーが切り替え可能。

*4:挙動から察するに、KDDIが提供している純正のEメールアプリも同じIMAPインターフェイスを利用している気がする。きっとAndroid版も同じなんじゃないかしら。

*5:つまり、純正キャリアメールアプリとは異なりサーバ設定や認証情報がユーザーに対して隠蔽されていない!!

*6:EASを利用する場合のことについては参考程度として末尾にメモしておく。

*7:まだ取得していない場合はMarketplaceからEメールアプリをインストールして、取得/お好みのアドレスに変更する。

*8:たとえばiPhone's UA Browserとか。試してはいないけどたぶんUser Agent Switcherでもいい。

*9:2012年6月17日時点でページ上部にPDFへのリンクで掲載されているもの。

*10:どうやらメール設定に関する応答専用の別番号があるようだ。

*11:といってもMessagingでは本文まるまるしかコピーできないっぽいので、まるまるコピーしておいて後で貼り付けるときに冒頭を削ることになる。

*12:ちなみにiPhone's UA Browserの場合は起動時に勝手にYahoo!を開きに行くので、Wi-Fi運用前提でパケット通信量を抑えたい、という人は、データ接続に切り替える前にあらかじめブラウザを起動して、読み込みを完了させておいてからバックグラウンドに回しておくといい。

*13:表示されるが、サーバー側がきちんと自動構成情報を返すようになっているらしく、コピーして控えておく必要はなかった。ただし後述する応用の段階で利用するソフトウェアによっては手動入力が必要になるかもしれないので、そういう人は控えておくといい。と言ってもごく平凡なので覚えられるだろうし、すでにIS12Tに設定した内容をコピーすれば済む話だが。

*14:ユーザー名としてメールアドレス前半部を自動的に入力してくれるため。

*15:試してはいないが、おそらくEASの場合は即時受信が出来るはず。

*16:ちなみに、迷惑メールフィルタの設定にもここからアクセスできる。

*17:最近のAndroid機でできるのでもしや、と思ってやってみたらできた。トラフィックを逃がすオフロード施策の一環である。

*18:しかも僕の大好きなIMAPなのでデバイス間で完全に同期される。

*19:ただし今まで送受信テスト以外に一通も使っていない。

*20:Exchangeの提供する他の機能(予定表など)が利用できるかどうかは不明。連絡先は同期できそうかも。

*21:ただし、一つ目の制約のために僕自身はEASモードを利用できていないため、二つ目の制約は飽くまで憶測である。

*22:というか、iPhone's UA Browserでは、構成プロファイルのダウンロードボタンをタップしても何も起きなかった。WebKitでないとダメなのか、はたまたWindows Phoneで処理できないMIME Typeないし拡張子だからなのか。

*23:実際、これを開くことのできるAndroidユーザー達の間では活用されているらしい。その情報によると構成プロファイルは暗号化されていないようだ。

*24:EASはモバイルデバイス用の機能であり、デスクトップ向けのメールクライアントはExchangeとの通信にEASとは異なるプロトコルを使用する。ezweb.ne.jpのサーバーがデスクトップ向けのインターフェイスを用意しているかは分からないが、au oneメール同様Gmailのインフラを使っているというウワサもあるようなので、用意していないと考えた方がよさそうだ。